舞台の仕事に関わり始めてかれこれ十年以上経つ。
この本はそんな私が関わってきた経験を元にまとめた物である。
まだまだ発展途上の物である事をご了承頂きたいと思うのと同時に、
舞台芸術、パフォーミングアーツの分野で舞台美術を創りたいと思う入門書としては、
とても役になるのではないかと言う自負もある。
私は大学三年の時に早稲田大学の人たちに混じり演劇に関わり始めた。
その後、そこで知り合った劇団青年団の俳優に美術家/杉山至氏を紹介されそのまま青年団に入団した。
やはり、そこで学んだ経験が私の舞台美術の基礎になっている。
2001年主宰の平田オリザ氏が桜美林大学で教鞭を取るのをきっかけに、
我々もそのアシスタントとして大学の授業に関わりを持つ事ができた。
大学の授業さらにはワークショップ活動の参加、これも大きな経験となっている。
劇団の仕事と同時に、アゴラ劇場での舞台スタッフとしても仕事をしてきた。
アゴラ劇場は小規模ながら、個性的で実力のある劇団が数多く公演を行い、
それらの公演にまじかで関われた事も大きい。
さらに、韓国、フランスなどを中心に海外の劇団と多く仕事を重ねた事は、
自分たちの作り方、技術を客観的に見つめるにもよい経験になった。
2007年〜2008年の一年間、アムステルダムのde theaterschoolの舞台美術コースで研修をする事ができた。そこでさらに、舞台教育の事を考えさせられた。
そして、2009年4月から桜美林大学の非常勤講師になり、
2011年からは桐朋学園芸術短期大学でも舞台指導をする事になった。
しかし、日本にはきちんとした資料や教科書がほとんどない為に、毎回自作で資料を作成しなくてはならなかった。
この分野をさらに発展、熟成させて行くにはこの辺りできちんとした教科書のような物を我々が創るべきだと思った。
まだまだ、経験の浅い私に入門書を書く資格などないが、これが何かのきっかけになりこの世界が広がって行く事を望む。
この本は、若い世代や初心者の人に読んでもらいたいと同時に、
私自身が舞台美術家、セノグラファーとしてとして今後をどう歩んで行くかの再確認の為の物でもあるのかもしれない。
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